2008年
11月25日(火曜日)
2−43 虎屋の羊羹
ウェールズにいる間はね、ちゃんとお休みとお小遣いをいただいてい
たので、訪ねて来たオックスフォードの友人たちなどと時々小旅行に
行くことができたんだよ。
近くのお出かけには、ワトソン家でも連れて行って下さったし。
(マムをメイドさんにお願いして、ね)
イギリスではあちこちに、昔のかつてのおもかげがすっかり消え失せた
お城や修道院が風雨に晒されるままになっている。
何世紀も前のものがたくさん…
かつての力や栄光、貴族の宴、豪華に着飾り踊ったであろう貴婦人た
ちの面影を追い、歴史の秘める哀愁に打たれたよ。
”国破れて山河あり” や、荒城の月の歌詞が聞こえて来るようだった。
夏の海岸線はオアシス。
海岸ギリギリまで緑で、塩の香りも波の音もしないので、絵を見ている
ような錯覚に陥る。
(前回のミニアルバムにも載せた)
地方では乗って来る人全員顔なじみで、ひとりひとりと世間話を交わし
ながら陽気にバスを走らせていた運転手さん、途中でバスを止め、
「ちょっと待っててね」
と言っていなくなったまま20分経っても戻って来なかったりするんよ。
平気な顔をしている他の乗客に聞くと、
「お茶でも飲みに行ってるんでしょう」
というのどかさ。
ここウェールズでも一日に何度もミルクティーを飲まないと何も進行し
ない。
マムの具合は相変わらず…
お天気のいい日は庭いっぱいに風を切る洗濯物のそばでロッキング
チェアの中に埋もれて、芝刈りをする私を眺めたり、
またある日は意識が薄れて誰が何を言ってもわからなかったり…
家からね、夏物と日本食品の間に混じり励ましの手紙とお小遣いが
届いたよ。
祖母はガンの手術後は再発のきざしもなく、祖父に世話をしてもらい
ながら、細々と感謝の日々を送っているって。
私が「ウェールズの小さな村で看病のお手伝いをしている」 と聞いて、
「えらいことだね、美弥ちゃんはどこへ行ってもそういうことを頼まれる
運命なんだね」
って笑ったそう。
さて、小包みに入っていたインスタントラーメンは好評だったんだけど、
虎屋の高級羊羹、これいかに。
「なぜこんな銀紙に包んであるの?」
「濡れてて気持ち悪い」
「味も匂いもないわね」
「いずれにせよ、毒じゃないでしょ」
(看護婦とアネッカの会話)
ワトソン氏もおそるおそる角をかじり、
「悪くはないよ。」
おみやげに持って行った近所の家々でも、5ミリかじっただけで、ゴミ
箱行き。
全く同じ感想を述べるんさ。
日本の代表的銘菓の傑作、日本の誇り、虎屋の羊羹…
私の心は痛んだ。
これは国際的一大事、すぐに虎屋の社長さんに報告書を送らねば…!
虎屋の名声についても羊羹についても何の基礎知識もないウェールズ
の庶民が、羊羹を得たいの知れない、水っぽくて気持ちの悪い、味も
香りもない、不衛生な工程で作られた野蛮な国のお菓子と思っても
無理はないかも。
日本は藁を敷いた床の上で暮らし、沢山の貧民がボートに住んでいると
信じて疑わない人たちだもの。
いかに吟味された原料から、近代的、衛生的設備の中で、白衣とマス
クの従業員たちの手によって謹製されているか、
また、ただ甘ければいいような洋菓子と違い、和菓子のデリケートさや、
いただき方、器などへの心配りなど、どうして説明できよう。
あぁ〜ん、くやしいよーぉ!
うまく説明できない自分に、そのつたない英語力に、がっくりこ。
それでウェールズの庶民の羊羹との遭遇に際しての正直な反応の一
部始終を綴り、
「虎屋さんともなれば英語のできる秘書さんもいらっしゃるでしょう?
英文の羊羹の説明書を送っていただけないでしょうか。
日本を正しく理解してもらうため、また羊羹の汚名を晴らすため、どうし
ても必要なのです」
というお願いといっしょに、虎屋の社長さん宛てに送っちゃった。
封筒の裏には、
「社長さん、国際的一大事です」
と、私が泣きわめいているイラストを入れて。
さあ、果たして、天下の虎屋さんから、
しがない、いち大和なでしこ(?)の 絶望の淵からの叫び への
お返事は来るのでしょうか??
ミニミニ観光案内
イギリスの地図

前と同じ地図をイギリス政府観光局HP&ウィッキペディアから
お借りしました。
イギリス本土がカンガルーで、赤いお腹の部分がウェールズだとする
と、ふくらんだ膝とふくらはぎのあたりがデボン州。
足全体がコーンウォール半島。
前回出て来たトーキーが右の地図の白いマークで、ニューキーは、
足の先っぽにある。

デボン州の絵葉書

デボン州の海岸 絵葉書


デボン州、ソルズベリー地方にある ストーンヘンジ。世界遺産。
お休みに訪ねて来てくれた友人たちのオートバイの後ろに乗っけて
もらって行ったので、ヘルメットを持っている。
こんな巨大な石を古代の人がどこからどうやって運んで来たのか、
どうやって積み上げたのかとか、形状、材質を始め、
配置も天文学的に計算されたりしていて、謎が多い。


デボン州、バース(Bath) の町。
イギリスでは珍しい温泉の町。 お風呂(bath) という単語はこの土地
の名前から。 街並みは世界遺産になっている。

バースのローマン風呂
バース(Bath)は、イングランド西部、サマセットにある都市である。
人口は9万人強。
三つの源泉から供給される温泉で著名であり、イングランド有数の
観光地である。
最近までは温泉施設跡を見ることしか出来なかったが、市内中心部に
鉱泉を利用した温泉総合スパ施設サーメ・バース・スパが作られて、
入浴する事も出来るようになった。(ウィキペディアより)
たぶん、水着を着てだと思うよ。

コルフ城跡 絵葉書
デボン州の向かって右並びにある、ドーセット州に。
978年にエドワード王によりコルフ村を見下ろす丘の上に建設されたが、
内乱で廃城になり、そのままに。


外壁の彫刻が美しい ソルズベリー大聖堂。
ソルズベリーも、街並みが世界遺産になっているんだよ。
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たので、訪ねて来たオックスフォードの友人たちなどと時々小旅行に
行くことができたんだよ。
近くのお出かけには、ワトソン家でも連れて行って下さったし。
(マムをメイドさんにお願いして、ね)
イギリスではあちこちに、昔のかつてのおもかげがすっかり消え失せた
お城や修道院が風雨に晒されるままになっている。
何世紀も前のものがたくさん…
かつての力や栄光、貴族の宴、豪華に着飾り踊ったであろう貴婦人た
ちの面影を追い、歴史の秘める哀愁に打たれたよ。
”国破れて山河あり” や、荒城の月の歌詞が聞こえて来るようだった。
夏の海岸線はオアシス。
海岸ギリギリまで緑で、塩の香りも波の音もしないので、絵を見ている
ような錯覚に陥る。
(前回のミニアルバムにも載せた)
地方では乗って来る人全員顔なじみで、ひとりひとりと世間話を交わし
ながら陽気にバスを走らせていた運転手さん、途中でバスを止め、
「ちょっと待っててね」
と言っていなくなったまま20分経っても戻って来なかったりするんよ。
平気な顔をしている他の乗客に聞くと、
「お茶でも飲みに行ってるんでしょう」
というのどかさ。
ここウェールズでも一日に何度もミルクティーを飲まないと何も進行し
ない。
マムの具合は相変わらず…
お天気のいい日は庭いっぱいに風を切る洗濯物のそばでロッキング
チェアの中に埋もれて、芝刈りをする私を眺めたり、
またある日は意識が薄れて誰が何を言ってもわからなかったり…
家からね、夏物と日本食品の間に混じり励ましの手紙とお小遣いが
届いたよ。
祖母はガンの手術後は再発のきざしもなく、祖父に世話をしてもらい
ながら、細々と感謝の日々を送っているって。
私が「ウェールズの小さな村で看病のお手伝いをしている」 と聞いて、
「えらいことだね、美弥ちゃんはどこへ行ってもそういうことを頼まれる
運命なんだね」
って笑ったそう。
さて、小包みに入っていたインスタントラーメンは好評だったんだけど、
虎屋の高級羊羹、これいかに。
「なぜこんな銀紙に包んであるの?」
「濡れてて気持ち悪い」
「味も匂いもないわね」
「いずれにせよ、毒じゃないでしょ」
(看護婦とアネッカの会話)
ワトソン氏もおそるおそる角をかじり、
「悪くはないよ。」
おみやげに持って行った近所の家々でも、5ミリかじっただけで、ゴミ
箱行き。
全く同じ感想を述べるんさ。
日本の代表的銘菓の傑作、日本の誇り、虎屋の羊羹…
私の心は痛んだ。
これは国際的一大事、すぐに虎屋の社長さんに報告書を送らねば…!
虎屋の名声についても羊羹についても何の基礎知識もないウェールズ
の庶民が、羊羹を得たいの知れない、水っぽくて気持ちの悪い、味も
香りもない、不衛生な工程で作られた野蛮な国のお菓子と思っても
無理はないかも。
日本は藁を敷いた床の上で暮らし、沢山の貧民がボートに住んでいると
信じて疑わない人たちだもの。
いかに吟味された原料から、近代的、衛生的設備の中で、白衣とマス
クの従業員たちの手によって謹製されているか、
また、ただ甘ければいいような洋菓子と違い、和菓子のデリケートさや、
いただき方、器などへの心配りなど、どうして説明できよう。
あぁ〜ん、くやしいよーぉ!
うまく説明できない自分に、そのつたない英語力に、がっくりこ。
それでウェールズの庶民の羊羹との遭遇に際しての正直な反応の一
部始終を綴り、
「虎屋さんともなれば英語のできる秘書さんもいらっしゃるでしょう?
英文の羊羹の説明書を送っていただけないでしょうか。
日本を正しく理解してもらうため、また羊羹の汚名を晴らすため、どうし
ても必要なのです」
というお願いといっしょに、虎屋の社長さん宛てに送っちゃった。
封筒の裏には、
「社長さん、国際的一大事です」
と、私が泣きわめいているイラストを入れて。
さあ、果たして、天下の虎屋さんから、
しがない、いち大和なでしこ(?)の 絶望の淵からの叫び への
お返事は来るのでしょうか??
ミニミニ観光案内
イギリスの地図

前と同じ地図をイギリス政府観光局HP&ウィッキペディアから
お借りしました。
イギリス本土がカンガルーで、赤いお腹の部分がウェールズだとする
と、ふくらんだ膝とふくらはぎのあたりがデボン州。
足全体がコーンウォール半島。
前回出て来たトーキーが右の地図の白いマークで、ニューキーは、
足の先っぽにある。

デボン州の絵葉書

デボン州の海岸 絵葉書


デボン州、ソルズベリー地方にある ストーンヘンジ。世界遺産。
お休みに訪ねて来てくれた友人たちのオートバイの後ろに乗っけて
もらって行ったので、ヘルメットを持っている。
こんな巨大な石を古代の人がどこからどうやって運んで来たのか、
どうやって積み上げたのかとか、形状、材質を始め、
配置も天文学的に計算されたりしていて、謎が多い。


デボン州、バース(Bath) の町。
イギリスでは珍しい温泉の町。 お風呂(bath) という単語はこの土地
の名前から。 街並みは世界遺産になっている。

バースのローマン風呂
バース(Bath)は、イングランド西部、サマセットにある都市である。
人口は9万人強。
三つの源泉から供給される温泉で著名であり、イングランド有数の
観光地である。
最近までは温泉施設跡を見ることしか出来なかったが、市内中心部に
鉱泉を利用した温泉総合スパ施設サーメ・バース・スパが作られて、
入浴する事も出来るようになった。(ウィキペディアより)
たぶん、水着を着てだと思うよ。

コルフ城跡 絵葉書
デボン州の向かって右並びにある、ドーセット州に。
978年にエドワード王によりコルフ村を見下ろす丘の上に建設されたが、
内乱で廃城になり、そのままに。


外壁の彫刻が美しい ソルズベリー大聖堂。
ソルズベリーも、街並みが世界遺産になっているんだよ。
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★テーマ:誰かに伝えたくなる、話。(*´ー`) - ☆ジャンル:小説・文学
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