☆ふつうの女の子 世界の旅☆

兼高かおるさんでもルポライターでもない、そこらにいそうなふつうの女の子がリュックひとつで世界への旅に出る。 そこで見たことあったことを綴って行くよ。 (恋もあり?!)  同じ場所を訪れた人の横入り参加も歓迎 (原稿送って!)。 火曜日更新。

2008年

11月18日

(火曜日)

2ー42 アンヌイル 

ウェールズに来てから半月ほど過ぎた。

マムは頭のはっきりしている時は、元気な頃の人柄がうかがえるよう
だった。
聞き取れないような声でだけれど、とんちのきいた冗談を言い、顔を
くちゃくちゃにして笑う。
あまりしなびていて小さい顔なので、笑っているのか泣いているのか
わからないんだけど、笑っているんだ。
私のこと、“シバの女王” だって。 髪が黒いから。

イースター礼拝に行くワトソン氏を呼び、
「髪はとかしましたか?
靴は磨きましたか?
どれ、一回りしてごらん」
70才台の息子もマムにとってはまだ子どものまま。

何十年か前に、エジプト人のお医者さんに嫁いだもうひとりの娘さん
の元へ休暇にマムを連れて行った時も、
パイロットの免許を持っているワトソン氏が操縦室を見学に行こうと席
を立つと、大勢の乗客の前で、

「そこらをいじっちゃダメですよ。
何もいたずらするんじゃありませんよ!」
と、人差し指を上下に振って ”メッ” をしたそう。

その村では昔、炭鉱が盛んだったので、裏の山にその跡があり、
今も掘った時の土を盛り上げた山から煙がたなびいて、美しい山々の
斜面や野原に牛や羊が平和そうに草をはんでいるけれど、

その裏山で他の子どもたちと駆け回って遊んでいたワトソン氏にマム
は窓から白いハンカチを振ってお茶の時間の合図をしたとか。

マムはギリギリまで痩せ細って身動きできず、ほとんど眠っていたけ
れど、目を覚ますと私の手を握ってじっと見つめた。

若い時は日曜日には教会へ三度も行ったという彼女だけど、私が教
会に行こうとすると手を離さず、

「あなたが外出するととてもさみしい。私といっしょにいて」

と嘆願したり、

「暖かくなったらベッドごと車に乗ってピクニックに行きましょうね」

という私の言葉に、「どうしても明日行く」 とだだをこねて、周囲をてこ
ずらせたこともあった。

彼女は私を “アンヌイル”(ウェールズ語で “愛らしい” とか “大切な”
という意味だって)と呼んで、とても大切にしてくれた。

ヒステリー気味のアネッカに時々辛く当たられたけど、マムはワトソン
氏を呼んで、

「ワラティグ ハー(彼女を大切に扱いなさい)。
彼女は招待されて来たのであって、メイドではありませんよ。
仕事は強制ではなく、家族の一員としてできることを頼むだけですよ。
フェアでなくちゃいけません」

と言って下さったり。
相変わらずそばに来る人に、「あの子は私をマムと呼んでいるか」と
確かめる毎日だったけど、私の髪を撫でながら、

「この目の前にいる女の人をあなたは何と呼んでいるか」と聞かれた
時には気恥ずかしくて…
「マムです」
と答えると、頷いて眠りに落ちた。

『一日も長く生きてほしい。
この人のためなら何でもしてあげたい…』
見も知らなかった病床の老母との心の通い合いが、私にとってもかけ
がえのないものになっていたよ。






          ミニミニ 観光案内



  
ウエールズ絵葉書ブラックマウンテン

ウェールズの田園風景とブラックマウンテン(絵葉書)



ブレコン絵葉書

一番近い大きな町、ブレコン(絵葉書)



ウェールズの海岸

ウェールズの海岸(Port Eynon〜Rhossili)(観光パンフより)


ウエールズ海岸2



メイドシンディー

メイドのシンディーと、ワトソン家のキッチン裏で




New-Quayの港

お休みに行ったイングランド・コーンウォール半島の港町 
New-Quay (ニュー キー)の港 
ニューキーは、下の地図の、トーキーがあるコーンウォール半島の
先っぽ



200px-Torquay_-_Devon_dot.png

トーキーの位置(ウィキペディアより)

 
ウエールズの港

お休みに連れて行ってもらったイングランド・デヴォン州の港町
Torquai (トーキー)の港

日本から送られて来た着物を着ている。ショールはウェールズ製だよ。

この町は、アガサ クリスティーの生まれ故郷で、イギリスのリビエラ
とか呼ばれている風光明媚な街だけど、観光パンフにはほとんど出
て来ない。
調べてインターネット上で訪れてみて!




トーキー絵葉書

その時投函した、トーキーの絵葉書




 



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美弥

Author:美弥
小さな日本のそのまた小さな町の、空から見たら針の先のような屋根の下の人間関係に悩んでいた私。

”♪今、私の願い事が…” 
「そうだ、ほんとにその願い事叶えてあの広い空から地球を見下ろしてみよう。
私はこの家の子どもである前に、日本人、そして地球人。
美しい地球を見に見知らぬ国々に出かけてみる!」

そして実行。
そんな単純、無邪気な私ですが、行く末は…。

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